講座4 紫外線について ~ シミって消せるの?
スキンケア講座のつづきです。
前回までは、
* 表皮は老化しない
* シミ・シワ・タルミは老化現象ではなく「長年受けてきた肌ダメージ」の蓄積
* 代表的な肌ダメージ要因3つの1つ目は、過剰なスキンケア
(洗いすぎ、マッサージしすぎ、保湿ケアのしすぎ)
という話でしたね。
ようやく肌ダメージ要因3つのうち、2つ目に進みます。
今回は紫外線によるシミについてのお話です。
・・・紫外線が肌に悪いのはもう知ってるよ、という方が多いと思いますので、
一般的な話は飛ばして、珍しい(化粧品業界があまり語りたがらない)
お話しを選びますね。
私もはじめて聞いたときには、目からうろこ! の衝撃的な話でした。
シミはどうやってできるのでしょうか?
ご存知、紫外線です。
でも意外と知られていないのは、
■ 人が一生のあいだ浴びる紫外線のうち、
半分は成人するまでに浴びてしまっている!
と言う事と
■ 若いうちに浴びた紫外線により作られたシミの予備軍は、
肌の奥に潜伏しており、出現の時を待っている!
…と言うことだと思います。
この事は皮膚科の世界では誰もが知っている常識なのですが、
この話題が世間一般であまり語られないのは、
化粧品の売上に直接つながらない、売れない話だからだと思います。
では、もうちょっと詳しく説明します。
1998年に母子手帳から「日光浴のすすめ」が消えたのはご存知でしょうか?
日光浴は昔から体に良いとされ、奨励されて来ました。
私の母が子どもの頃は、「くろんぼ大会」などと称して、
真っ黒に焼けた日焼けを競い合う大会が小学校などで開かれていたそうです。
日焼けは健康と自然美の証しだったのです。
ところが近年になって紫外線は百害あって一利なし、と言うことが判明しました。
いまさらそんな事言われても、困りますよね!
実は日焼けで肌が褐色になる事自体は、別に悪い事ではありません。
メラニンは皮膚細胞を紫外線から守る天然の日除けの帽子なのですから。
(皮膚科医の講演で皮膚細胞の顕微鏡写真を見せられたことがありますが、
その名も「メラニンキャップ」というメラニンのかわいい黒い帽子を
ちょこんと頭にのせていました。 嘘じゃないですよ。)
…では、紫外線はなにがいけないのでしょうか?
紫外線の悪いところは、表皮細胞のDNAを傷つけることなのです。
DNAとは細胞の再生をつかさどる大事な情報が書かれている、
いわば「細胞の作り方マニュアル」。
紫外線はこのマニュアルに書かれている大事な情報を消してしまう
いたずらっ子の消しゴムのような存在。
DNAは大事な情報なので、紫外線で消されてもすぐに元通り書きなおされます。
但し、何度も何度も書きなおされてるうち、時々、間違いが起きるんです。
(細胞もたまにはケアレスミスがあると言うことですね。)
DNA(皮膚細胞の作り方マニュアル)の情報が間違っていると、
欠陥品の細胞が作られてしまいます。
欠陥にも色々あって、皮膚ガン細胞になってしまう怖いものもありますが、
よくある欠陥が、必要ないのに際限なくメラニンを作りつづけてしまう欠陥。
これがもっとも一般的なシミ。 光老化によるシミです。
(注:シミには23種類の種類があります。
ここで触れているのは最も一般的な光老化によるシミです。)
若いうちは、まだDNA書き直しの回数が少ないので、
修正間違いがほとんど無く、シミがでる事はまずありません。
ところが、20代をすぎる頃に強い日焼けをしたり、吹き出物を作ってしまったりすると、
すでに上限近くまで積み重ねられてきたDNAの修正間違いの上に、さらに傷がつけられます。
その結果、メラニンを作る遺伝子のブレーキ機能にとうとう欠陥が出てしまい、
際限なくメラニンを作りつづける欠陥品の皮膚細胞が生まれます。
…これがシミの主な原因だったのです。
もし、あなたが若いうちに紫外線を大量に浴びてしまっていれば、
シミは防ぎようがない宿命なのです。
が、あきらめるのは早いです。
シミを完全に防ぐ事は出来なくても、欠陥細胞の出現を遅らせれば良いのです。
どのように遅らせれば良いのでしょうか?
美白化粧品を使う?
いいえ、実は美白化粧品は根本的な解決策にはなりません。
(この話は又今度。)
では、どうすれば良いのでしょうか。
これ以上、DNA修正間違いが起きないようにすれば良いのです。
そもそも細胞が修復時にケアレスミスをしなければ良いのですが、
そういうわけにも行かないので、DNAの傷をこれ以上増やさないようにして、
細胞がDNA修復作業をなるべくしなくてもいいようにしてあげれば良いのです。
具体的には、
1)適切なUVケアにより紫外線を浴びない事。
2)活性酸素を作らない事。
の2点を心がけましょう。
活性酸素について、いままで触れなかったので、あれ?
と思われたかもしれませんが、活性酸素もDNAを破壊する大きな要因です。
(次回に詳しくお話します。)
では、出来てしまったシミはどうしたらよいでしょうか?
美白化粧品やエステにお金をつぎ込む位なら、
信頼できる皮膚科医に行ってレーザーでとってしまいましょう。
安全に、しかもキレイにとれます。
(別に皮膚科医からお金もらってるわけじゃないですよ!)
…気になるお値段も、過当競争でだいぶ安くなってきたようですよ。
■今日のまとめ
・シミの予備軍は、顔の皮膚の奥底で、時がくるのを待ってます。
・シミを防ぐことは出来ませんが、出現を遅らせる事は出来ます。
・出現を遅らせるには、UVケアと活性酸素ケアの2つ。
・出来てしまったシミはあきらめるか、皮膚科医でとってもらいましょう。
以上です。
いかがでしたでしょうか。
来週は、近年話題の活性酸素について書いていこうと思います。
では!
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