イラン ローズ農園視察レポート

イランは砂漠のイメージがありますが、地下水が地表近くに流れているところでは、
ありとあらゆる薬用植物、フルーツ、野菜が育ちます。

もちろんバラ栽培にも大変適した気候だそうです。

訪問先の農園で聞いた話ですが、ここで収穫されるローズオイルの半分以上がブルガリアに輸出されて、なんと「ブルガリア産」として出回っているとのこと。

要するに、産地偽装ですね!

末端消費者としてはブルガリア産の方が何となく聞こえがいいですからね。
生産者達はそれが悔しいみたいで、日本でイラン産のバラについてのお話を広めて下さい、とお願いされました。

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初夏のイランは、昼間は日差しが強くて暑いのですが、
湿気がないため日陰や夕方以降は大変すごしやすいです。

今回訪れたのは、
首都テヘランから車で4時間ほどかかる
カーシャンという高原の街からさらに
険しい山道を20Km登っていったところにある農園。

テヘランを出発するとしばらくは砂漠が続き、
むき出しの山がみえ、家畜を放牧している人たちに出会い、
本当にこんな国にバラが咲くの?と思ってしまいます。

カラカラに乾いた砂漠が車窓に延々4時間続きます。

カーシャンの町からは険しい山道を20Km登って行きます。

ひとたび山の中腹の村に入るとそこはバラの香りでいっぱいの
素晴らしいところにたどりつきました。

ここは標高も高いため夜は寒く上着が必要です。
高度はなんと3000mで富士山なみ!
酸素が薄く、ちょっと動くとすぐに息切れします。
(夜の歓迎会では、皆と踊って息が上がり大変でした。)

下界は日中の気温が30度以上でしたが、
ここではずっと暖房がついていました。

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バラは6000キロの生花の収穫からたった1キロの精油をとります。
ここではすべてをオーガニックで作っていて、
ミツバチが一生懸命に蜜をあつめていました。

(この蜂蜜もうられていて、朝食のとき食べましたが甘く濃厚でおいしいものでした。)

オーガニック、といっても日本で言うほど大それたものではなく、
高地で乾燥しているのでそもそも害虫なんかいないから殺虫剤なんてまいてないし、
肥料は近所の農家でもらう堆肥や、ローズ水の絞りかすなんかをたまにまけば充分。
特に特別なことはやってませんよ、というかんじ。

農園で働く人たちがとまる会社の寮に
わたしたちも一緒にとめていただきました。

バラ摘みの責任者の女性に話をうかがいました。

このお仕事の楽しいことは?

「朝はやく5時頃に畑にでます。
早朝にバラを摘むのはとっても気持ちがいいです」

大変なことはなんですか?
やっぱり早起きでしょうか?

「いいえ早起きは別に苦にならないです。
それよりも指にトゲがささる事の方が大変。
でも手袋を付けるときれいに収穫できないので、
素手でやっています。」

わたしも、後ほど一緒になって収穫しましたが、
指先は傷だらけ!

バラの木には大きなトゲがいっぱい。
でも本当に困るのは目に見えない細かいトゲ。
なかなか抜けなくて、後で痛いです。

バラの香りがたっぷりする場所に泊めていただき、翌日は朝早くおきて花つみの手伝いをさせていただきました。

太陽が昇りきってしまうと精油成分がとんでしまうので、早朝に収穫します。
まだ星がみえるような時間におきて、バラの農園で開花したての花をつみました。

精油をとるためには開花したての花をつみ、
24時間以内に生で蒸留するのが
いちばんよい香りがするそうです。

ダマスクローズは直径4、5センチでこぶりです。
花びらは数えてみたら37枚ありました。

実際に体験したことでいかに手がかかる
重労働であるかがよくわかりましたが、
みんな自分の仕事に誇りをもっているようでした。

みんなありがとう!