わが家に伝わる台湾のなぞの腕輪
実家の仏壇から白い大理石の腕輪が出てきました。
おばあさんによると、これはお義父さんが当時、日本の植民地だった台湾で警官をやっていたとき、持ち帰ってきたものだと言うのです。
ただの台湾みやげなら仏壇に入れる必要は無い。
何かいわくがありそうだ。何なのだろう。
親戚一同で意見を出し合いました。
腕に通そうとしても、とても細い腕輪で腕に入らない。
想像力豊かな叔母Aは、
「きっとこれは、子供の時に腕にはめて、成長していくと腕から取れなくなるものなんだよ。台湾の習慣でね。
反乱を起こした台湾人のリーダーを処刑したおじいさんは、サーベルで腕を切り落として戦利品にしたんだよ。
そうでもしなけりゃ、腕輪は取れないのさ。
でも、処刑したリーダーは、敵ながらあっぱれな奴だったので、仏壇に腕輪を入れて弔ったのじゃないかな」
叔母Bの意見
「おじいさんは、腕が細い台湾の女の子に出会って、将来を誓い合う仲になったんだけど、その子は病気で死んじゃったんだよ。
(腕が細い子だからね、病気になりやすいの)
で、日本に帰国して結婚してからも、形見の腕輪を奥さんに内緒で仏壇に入れて、たまに、いい娘だったなぁ、って思い出して手を合わせてたりしてたんだよ。」
結局よくわからなくて、処分に困り、おばあさんの「こういう訳の分からんもんは、拓ちゃんにやろう」と言う鶴の一声で、謎の腕輪は僕に託されました。
家に遊びに来るお客さんたちに腕輪の話をすると、みんなそれをはめたがります。腕が細い人だと難なく通せる人が多かったです。
おばたちが腕を通そうとして入らなかったのは、単に腕が太かっただけのよう。
叔母B の話の方が本当ぽいし、より素敵なので、そっちの説を取ることにしています。