アルガンオイルを求めてモロッコ旅2

2021年5月12日

…砂漠を何時間も移動して、ついにアルガンオイル産地に到着!

この採油所は近隣の農村に住む女性たちの自立を支援する団体が運営しています。
作業部屋は、カチカチと石でナッツをたたく音が響きます。
四角い石の台の上にアルガンナッツの殻をのせて、手にした石でたたき割ります。アルガンの実の大きさはだいたいギンナンぐらいかな。

みなさん、自由におしゃべりしながら、楽しそう。
テキパキ、カチカチ割っていきます。

へー、おもしろそうだなあ、っと関心して見ていたら、

おばあちゃんにグイっと手を引っ張られて
「アンタもここに座ってやってみな」と石を渡されました。

実は、僕はこういうのは得意な方なので、ここは腕の見せ所、とニンマリ。

で、やってみましたが、、、全然できない(笑)

カチン!とたたいても、
A)割れない。
B)指の間から滑って、殻ごと飛んでいく

のどちらか。

強くたたくと
C)指先をたたいてしまい、痛い思いをする。
D)中のナッツがぐちゃぐちゃに割れてつかいものにならなくなる。

というわけで、A,B,C,Dのループを繰り返すことになります。

デキナイ、イタイ、と泣いてたら、
「へへへーン!」とおばあさん達に得意そうに鼻で笑われる。

悔しいけど完敗です。

アルガンのタネはどんぐりみたいなんだけど、皮がすごく分厚くて硬い。皮の厚さは1センチ近いんです。こんな硬い殻なので、石で叩いてもなかなか割れない。

それを苦労して割ると、ものすごく小さな、薄っぺらいものが出て来ます。
小指の爪くらい…アーモンドの半分もないかな。

何分もかかって僕が悲鳴を上げながらようやく1つのナッツを割るのに成功するまでの間、おばあさんは鼻歌交じりに10個は割ってました。

ただ、このおばあさんのように、慣れた人がいちにち作業しても、15キロの生の実からこの薄っぺらいの(種子核:仁、梅干しの種の中の白いのみたいなの)がとれるのはせいぜい1キロらしい。
それを絞ると500グラムの油になります。

いやはや大変な作業です。

★フェアトレード

案内してくれた所長さんに聞きました。
「こんな大変な作業、機械でできないものですか?」と。

所長によると、殻を破り種子核を取り出す機械はなくもない。

が、女性たちの仕事を奪ってしまう、という問題以前に、殻や薄皮が混入したりして純度が保てないという問題があるそうです。
(安い、純度の低いアルガンオイルは、殻やゴミも一緒に絞ってるそう。)

目視でないと、虫食いや悪い実をはねるのも難しい。
…なので、そもそも良質のアルガンオイルを搾るには手剥きの方がいい。

写真:選別されたアルガンの仁。手前が痩せた不良品。奥のが採油に使えるOK品。

社会的地位が低い農村の女性には、現金収入が得られる仕事はほとんどない。
経済力を持つことで地位向上につながる、ということで、王様の支援も受けて、このプロジェクトが発足したそう。

この作業所では、70人の女性が働いていて、組織全体では550人の女性が収穫から製造まで関わっているとのこと。

楽しそうに、作業している姿が印象的でした。

長くなるので続きは、また今度。