幽霊&恐怖体験

私は、思春期から二十歳くらいまでの頃はちょっと多感な青年で、
神秘的な体験をよくしました。

寝入りばなには必ず、ガヤガヤと何人かの人が話しこむ声が聞こえたものです。
でも毎晩の事なので特に怖くはなかったですね。

いち番すごいのは、夏の夜に友人宅に泊まった時。
金縛りと胸苦しさで目覚めると、胸の上に女の人が座っていて、
『淋しいよぅ…』とメソメソ泣くのです。

仕方ないから、よく分からないけど
『そうかそうか、かわいそうだね』、などと適当になだめてあの世(?)に帰ってもらいました。
このときも、泣かれて困っちゃうなぁというくらいで、怖くはなかったですね。

大きくなって心が汚くなったせいなのか、まったくこういう体験をしなくなりました。

でも、私は霊の存在は実はあまり信じてはいません。
前述のオカルトチックな体験も、実は科学的に説明がつく気がします。

たとえば寝入りばなに頭の中で聞こえる話し声とかは、脳みそが、
その日に聞いた雑音(耳に入ってきた関係ない人の話し声など)を
消去している作業だとか。

胸に乗ってないてた女性も本当にお化けチャンなのか怪しいものです。
単なる夢かも知れません。

でも、完全に霊は存在しない!とも言い切れないので、否定するわけでもないのですが。

私のおばあちゃんの体験談。
仏壇からキレイに光る球が転がり落ちる夢を見た翌朝に姉の訃報を聞いた、などといった話を聞くとやっぱり霊的なものと言うのは、存在するのかな、といった気にさせられます。

霊魂などの超常現象に関して、私は信じるわけでもなく否定するわけでもなく、
中立的な立場をとってきたのですが、去年の夏、独りで北海道の寒村にキャンプしていたときにちょっとした恐怖体験をしました。

キャンプ場オーナーの奥さんが、自殺したお隣さんの酪農家の話をしてくれました。
なんでも、北海道に限らず、牧場経営は大変厳しいそうです。

その集落は面積はだだっ広いのですが、たたの7世帯しかない集落です。

それなのに、この10年で、経営難やBSEを苦にして3人も自殺者がでているそうです。
7世帯で3人の自殺者って、ただ事じゃないですよね?!

(皆さん! お買い物の際には、是非、おいしい国産牛を選んで、
日本の畜産を支援してくださいね!)

そのキャンプ場のお隣さんの牧場主のおじさんがいなくなった日の晩、
彼女の夢に、フラッと出てきたそうなのです。

で、その翌朝。

犬の散歩中に、普段は絶対いかないお隣の農園との境の森になぜか足が吸い寄せられ、ふと見上げると、木の枝からぶら下がる隣のおじさんを見つけてしまったそうなんです。

いままで仲良くしていたおじさんが、生前のお礼に来たついでに、自分の居場所もしらせにきたのかな、とのこと。

     ***

その話をきいたあとに、
「変な話してゴメンね、もう遅いから寝ましょう」
と言うことになり、管理人さんはおうちに帰り、私は独りでテントに戻ったのですが、あいにくその日は宿泊者は誰もいない。

ここは隣の家まで3kmもあるような僻地です。
当然真っ暗闇。
ミミズクの鳴き声や鹿の叫び声なんかが山にこだまし、なかなか寝付けません。
テント脇の小川の向かい側が、お隣の農園主が首をつった森です。

テントは窓がないので外の状況が分からなくてとても不安。
(・・・たとえ窓があっても覗き込まれないか不安ですが)

暗くて恐いので思わずランプをつけました。

すると、テントの隅で白い顔のようなものがボワ~っと浮かび上がりました!

私は思わず、うわーーーーっと絶叫!

そして、気付きます。白いものはさっき脱いで丸めた靴下でした。

それにしても恐い。
大人なのにお化けは恐い。
歯がガチガチなります。

そこで思いつきました。
『そうだ、幽霊は幽霊で制するのがいい!』

適当なユウレイの知り合いを思い出しました。
ふと思いついたのが3年前に亡くなった、大好きなおじいちゃん。
おじいちゃんの霊を呼び寄せて、守ってもらうことにしました。

おじいちゃんは地獄のような戦場を生き延びた元職業軍人。
牛飼いのおやじさんのユウレイに負けるわけありません。

『おい、ユウレイさん、これはウチのかわいい孫なんだ!
恐がらせるのはいい加減にして帰っとくれよ!』

ってな感じでおっぱらってくれることでしょう。

今思うと、大のオトナが、ユウレイ恐いだなんて笑っちゃいますが、そのときはもう必死。
おじいちゃんとの楽しい思い出や、病床での姿、棺おけの中のしぼんだ顔なんかを必死に思い出したりしていると、不思議にこころが落ち着いてきて、その夜はぐっすりねむりました。

おじいちゃんのおかげ。

         ***
話は変わって、私は叔母を雫石の飛行機事故で亡くしています。
ANA(当時、全日空)のフライトアテンダント。
体調不良で休んだ同僚のかわりに非番だった彼女が飛び、そして殉職しました。

小心者の私は飛行機に乗るとき、離陸時と着陸時に、いつも墜落するような気がしてならないのです。
そんなときに、『ようこおねえさんが絶対に守ってくれるはず!』
と強く思うようにしています。

そのせいか(?)、飛行機事故に遭遇していません。

おばさんのおかげ。

         ***

でも、普段は亡くなった家族のことはめったに思い出しません。

こうやって、自分が都合のいいときにだけ故人を利用する割には、
お墓参りにもぜんぜんいってないなし、ひどいなあ、
こりゃあ、まずいな、墓参りにいかなきゃ、となぜか先日急に思い立ちました。

そしたら、おととい、おばあちゃんの弟が亡くなり、その2日後にあとを追うようにお姉さんが亡くなりました。

なんだかよく分かりませんが、とにかくお墓にいかなきゃなあ、と思いつつ仕事で忙しくてお墓に足が向かわない今日この頃です。

あと、故人も大事にしないといけませんが、生きてる人も大事にしないと。
わたしの2人のおばあちゃん、近くに住んでる割にはぜんぜん遊びに行っていません。
かなりの高齢ですので、いつ何があるか分かりません。

反省しました。今度遊びに行きます。