アルガンオイルを求めてモロッコ旅3

2021年5月12日

★アルガンの木について。

アルガンは7年雨が降らなくても枯れない、と言われている、とってもタフな木なのですが、じつはとっても繊細なところもあるようです。

アルガンの木が生えているのはモロッコ政府が管理しているアルガン特別保護区。アルガンの木は土壌流出を防ぎ、ヤギや野生動物の食糧としてもとても大事なのだそうです。

この施設で働く女性たちには、政府から特別な採集許可が出ています。
アルガンが世界的に人気と言うことで、モロッコ国内はもちろん、アメリカやイスラエルでも、アルガンの木をこぞって植えてみたそうですが、枯れてしまったり、根づいてもどう言うわけだか、なかなか品質の良い果肉のしっかりした実がならないそう。

土壌なのか気候なのか分かりませんが、アルガンはモロッコのアルガン地区でしか、ちゃんと育たないそうです。

砂漠の中に、まばらに見えてるのが、アルガンの木です。

唯一、モロッコの隣国アルジェリアのモロッコ国境に近い狭い地区でのみ、まともなアルガンが育つそうですが、他の地域に移植してみたけど、やっぱり育たないんだ、とのこと。

アルガンって、めんどくさくて、気難しい植物なんですね。

★アルガンの収穫について

さらに話を聞いてみると、アルガンの実の収穫も、かなりめんどくさいらしい。

アルガンの収穫期は、6月から9月の夏の期間。

動画:アルガン畑の片隅で、完全にオフシーズンなのに、なぜかなってしまったアルガンの実を発見!

夏の砂漠は日中は50度近く気温が上昇するので、早朝に取りに行きます。とった実は一か月ほど天日乾燥させてから絞りますが、よく乾燥させた実は最高で5年間保存できるので、1年を通じて、殻割りと搾油の作業ができます。

アルガンの実は自然におちるほど熟すまで待たないといけないんです。

熟した実を地面から拾います。
毎日、みんなで手分けをして見回りをしてヤギに食べられる前に先回りしてとります。

市場に出回っている安いアルガンオイルは、ヤギのフンから取り出した微妙な匂いのついたものや、無理やり木から降り落とした未熟な実を混ぜて使っているそうです。そうすると臭いがきつかったりするので、余計、鉱物油など、別な油で混ぜ物をして薄めないといけなくなってきます。
内緒で混ぜ物をする場合もあるし、ラベルをよく見ると、アルガンオイル以外のオイルと混ぜてある場合も多いんです。

動画:油絞りマシーン。熱や薬剤を加えずにゆっくりと圧力をかけて抽出します。

また、大手が出しているアルガンオイルは、精製度合いが高すぎて、色も香りも薄く、肌に良い成分もフィルターで除去されすぎてしまい、アルガンオイルである意味を失っているオイルも結構多いそう。

丁寧にアルガンオイルの製法について教えてくれた施設長さん。

 こういう調査の旅は久しぶり。
いま思うと、地の果てのようなところにまでいってきなあ、と感慨深いです。

最近ではネットで調べれば何でも情報が出てくると言う気がしてきてしまいますが、こういった情報はやはり現地に行かないと分からないものだなー、というのが今回のアルガン産地訪問の感想です。