伝説の化粧水を再現 ハンガリーウォーター
13世紀から伝わる伝説のアンチエイジング美容液、
「ハンガリーウォーター」をアレンジした化粧水キットを現在、準備中です。
ハンガリーウォーターの作り方は、通常は原料植物をエタノールに漬け込んでつくるため、せっかく作っても敏感肌、乾燥肌の方には刺激がきつすぎて使い物になりません。
私達のハンガリーウォーターは芳香蒸留水を使うことでエタノールを一滴も使わない調合です。
明日は、moran氏の工房へ試作品を見に行きます。楽しみ!
今の時代は、調べ物が本当に便利になりました。
世界中の医学史に関するサイトで、この幻の美容液、ハンガリー水に関する史実を調べました。
サイトの方では、誌面スペースがなく、割愛しましたが、この美容液の由来となるハンガリー王国の王妃、エリザベートの人生は非常に興味深いです。
だんなさんの王様がダメ男で、大変苦労した様です。
ローマ法王から破門されたり、隣国に戦争を仕掛けては負け、王国は大赤字。
1235年に、このだんな様が死んだのですが、
その同じ年に、エリザベート王妃の直筆のサインがある、
ローズマリーをメインにした処方箋が発行されました。
この文章は今でもウイーンに保管されているとの事です。
これが、ハンガリーウォーターの原典らしい。
彼女は顔面神経痛か通風を患っていたとの事で、アロマテラピストにいわせると、
ローズマリーは確かに理にかなった処方だそうです。
しかも、ローズマリーには抗酸化成分が豊富に含まれており、
皮膚の老化を防ぐ効果が証明されています。
さらに、ローズマリーの香りは、気分を明るく元気づけてくれる香り。
・・・まさに、アンチエイジングコスメです。
だんなが死んだあと、このハンガリーウォーターで健康と美貌を回復した王妃は、
音楽やコスメに傾倒し、若い男性のとりまき達と楽しく暮らしたようです。
なんか分かるような気がします。
しかも、72歳の時に隣国ポーランドの王子サマ(なんと18歳!)に求婚されたという、
すごい逸話まで残っています。
結局、再婚はしなかったようですが、
めちゃくちゃ楽しい老後をおくった事がうかがえます。
NIKITA風に言えば「これぞ、コムスメに勝つ、艶女(アデージョ)の元祖」。
これもだんな様に先立たれた事と、ハンガリー水のおかげ。
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この「若返りの妙薬」、ハンガリー水のうわさは、ヨーロッパ中に広がり、14世紀初頭には
これをフランス国王のために調合する業者が現れます。
ハンガリーウォーターは香水、民間薬として、ヨーロッパ各地で伝えられるうちに、
さまざまなバージョンが派生しました。
最初に、レシピがきちんとまとめられたのは1795年のイギリスの家庭医学書。
昔の正露丸みたいに、まさに万能薬として紹介されました。
そして、時は流れて、2006年にコスメ調合室の新商品として、
「ハンガリーウォーター風 化粧水キット」が、売り出される事になりました。
ハンガリー水を巡る雑学でした。